ポリフェノールとカテキン
カテキンは、ポリフェノールの一種で、お茶の「渋み」「苦味」の主成分です。カテキンの語源は、アカシア・カテキュー(マメ科アカシア属の低木)の樹液からとれるカテキューという結晶に由来しています。1929年(昭和4年)以降、カテキンが次々と発見され、お茶の特有成分であることがわかりました。かつて、お茶の苦味・渋み成分は「タンニン」と呼ばれていましたが、お茶のタンニンの大部分はカテキン類であることがわかったので、最近ではカテキンというようになりました。
ポリフェノールは、光合成によって作られる植物の色素や苦み成分の総称です。フラボノイド系と非フラボノイド系に分けられ、その数はなんと5,000種類以上にも及ぶといわれています。ポリフェノールには、からだに弊害を起こす活性酸素を除去する「抗酸化作用」があり、老化や病気を防ぐ効果があるといわれています。
酸素は人間が生きていく上で大切ですが、体内で変化した活性酸素は、細胞を酸化させてしまいます。酸化とは、物質が酸素と化合することで、鉄がさびるのは、酸素と鉄が化合するからです。体内でも同じことが起こっており、これが様々な病気や老化にも関係してきます。活性酸素は、ふつうに過ごしているだけでも作られます。また紫外線や喫煙、飲酒、ストレスなども主な原因となります。毎日の食事から、上手にポリフェノールを取り入れていきましょう。
【フラボノイド系】
アントシアニジン類、イソフラボン類、フラバノール類、フラバノノール類、フラバノン類、フラバン類、フラボノール類、フラボン類、などに分類されます。
カテキン類(緑茶)
アントシアニン(ブルーベリー、赤ワイン、なすなど)
イソフラボン(大豆)
ケルセチン(玉ねぎ、りんごなど)
ケンフェロール(ニラ、ブロッコリーなど)
ヘスペリジン(柑橘類)
ルチン(そば、いちぢくなど)
【非フラボノイド系】
エラグ酸(ベリー系、ナッツ類)
クロロゲン酸(コーヒー、プルーン、春菊など)
カカオマスポリフェノール(ココア、チョコレート)
クルクミン(ウコン)
クマリン(パセリ、人参など)
リグナン(ごま)
カテキン類
カテキンは、一番茶より三番茶に多く含まれます。これは、日光を浴びることでテアニンがカテキンに変化するためです。なお、玉露のように茶畑に覆いをして光が当たらないように栽培しているものは、カテキンの生成が抑えられます。
カテキンは、以下の4種類あります。
エピカテキン(EC)
エピガロカテキン(EGC)
エピカテキンガレート(ECG)
エピガロカテキンガレート(EGCG)
このうち、遊離型をEC、EGC、エステル型(ガレート型ともいう)をECG、EGCGといいます。遊離型カテキンは、苦味、エステル型カテキンは、苦味、渋みがあります。 緑茶では、EGCGの量が最も多く、全カテキン量の約半分を占めます。
茶葉中でECG、EGCG、およびカフェインが、抗アレルギー作用、EGCには免疫機能活性化があることが最近の研究報告でわかっています。
■カテキンの抽出性
カテキンは低温では溶けだしにくいですが、高温になると一気に溶けだす性質があります。熱湯でお茶を淹れると、EGCGが多く溶け出し、苦味、渋味を感じる強い味になります(抗アレルギーアップ)。 一方水で抽出すると、EGCGが抑えられ、EGCが多く溶け出し、苦味、渋味も少ない味になります(免疫力アップ)。
カテキンは60℃以下もしくは冷たい水には溶けにくく、特にエステル型は低温で溶けにくいので、苦渋味を抑えたい場合は、冷ましたお湯か水出しでお茶をいれるとよいでしょう。
■ カテキン類の効能
抗酸化、抗がん、抗突然変異、血中コレステロール上昇抑制、血圧上昇抑制、血糖上昇抑制、認知症予防、血小板凝集抑制、抗菌、抗虫歯菌、抗ウィルス、腸内菌叢改善、抗アレルギー、消臭といったものがあります。
メチル化カテキン
メチル化カテキンとは、カテキンの一種で、花粉症の症状緩和に効果的であるという研究成果が出ています。このメチル化カテキンは、EGCGの2倍強の抗アレルギー活性を持ち、べにふうきという品種に特に多く含まれています。また、EGCGよりも吸収率が高く、血中濃度が比較的長く維持されることが活性の強さに反映されていると考えられています。
茶期別に見ると、三番茶、秋冬番茶につれて多くなりますが、その分渋みが強くなります。
■メチル化カテキンを効率的に摂るには・・
日本臨床栄養学会誌(2005)よると、ヒト介入試験で、「やぶきた」に比べてアレルギー性通年性鼻炎の有意な軽減効果が認められたメチル化カテキン(EGCG3”Me +GCG3”Me)量は、 1日34mgが目安とあります。カテキンは、カフェイン同様胃を刺激する成分なので、毎日こまめに適量摂るのがおすすめです。
酸化重合物(縮合型タンニン)
茶葉は摘み取った瞬間から発酵が始まります。緑茶はその日のうちに蒸して発酵を止めますが、烏龍茶や紅茶は発酵させて製造します。発酵が進むと化学変化をおこし、カテキン類のほとんどが酸化酵素によって、酸化重合物が作られます。酸化重合物とは、いわゆるカテキンが合体したもので、烏龍茶や紅茶のオレンジや赤い色素(テアルビジン類やテアフラビン類など)がこれにあたります。縮合型タンニンともいいます。
これには緑茶カテキンと同様、抗菌作用、抗酸化作用、血糖値上昇の抑制、血中コレステロール上昇の抑制などがあるといわれています。