ちきりや本社 町内の山 鷹山(たかやま)

ちきりやの本社のある衣棚町は、祇園祭(後祭)の鉾町に位置し、期間中(7月)は最高潮に盛り上がります。
町内で維持保存している鷹山は、2022年に196年ぶりに復興しました。
祇園祭は、7月17日の前祭巡行と7月24日の後祭巡行に分かれて行われます。
鷹山はこの後祭になり、7月24日の後祭巡行では、くじ取らずの曳山として都大路を巡行します。

鷹山について

鷹山は、「鷹狩り」をテーマにした曳山(ひきやま)で、御神体は、中納言在原行平ともいわれる鷹を手にした「鷹遣い」、犬を連れた「犬遣い」、粽を持って酒を入れた樽を背負った「樽負い」の3体です。御神体が粽に関する山鉾は「鷹山」だけです。
祇園祭の曳山では最大級で、屋根までの高さは7.6メートル、幅4.3メートル、奥行き6.3メートルあります。
真松に止まるのは木彫りの雉で、人間国宝の林駒夫氏に監修、仏像政策の仏所定慶制作していただきました。御神体の装束は、人間国宝の林駒夫氏監修、株式会社佐々木能衣装制作で、すべて西陣織で作られています。

鷹山の歴史

鷹山は、応仁の乱以前よりお囃子が乗って巡行する大きな曳山(ひきやま)でした。文政9年(1826年)巡行時の大風雨によって破損して休み山となり、その後の元治の大火(1864年)により、「山」本体や懸装品等のほとんどが焼失してしまいました。江戸期の巡行に使用していた懸装品類としては、御神体人形の頭部と手が現存しています。

山と鉾

祇園祭の祭礼に出るいわゆる山車は、「鉾」と「山」の二種類で、「鉾」は大きな車がつき、金属の飾り物を先端に付けた長い棹を屋根の上につきだしているのに対して、「山」は、基本的にはなんらかの物語の人形などを載せて担ぐ舁山(かきやま)ですが、鉾と同じ形をした大きな「山」は、「曳山」といい、屋根の上に松の木を立てているのが特長です。


鷹山保存会 公式ホームページ
http://www.takayama.or.jp/

京都市情報館ホームーページ
鷹山装飾品13点(有形民俗文化財指定)
http://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000039313.html

祇園祭について

祇園祭は、疫病退散を祈願する八坂神社の神事です。古くは祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)と呼ばれていました。貞観11年(869)に京の都をはじめ日本各地に疫病が流行した時、神泉苑に66本の鉾(当時の国の数)を立て、祇園の神を祀り、さらに神輿を送って、災厄の除去を祈ったことにはじまります。7月1日の「吉符入」から、31日の「疫神社夏越祭」まで、1ヶ月にわたって各種の神事・行事が行われます。 もともと7月17日の神幸祭、7月24日の還幸祭に合わせて、前祭巡行(17日)と後祭巡行(24日)がありましたが、諸事情により、1966年(昭和41年)に合同で行われるようになりました。2014年、150年ぶりに大船鉾が復興し、49年ぶりにこの後祭が復活しました。

前祭
7月10日から順に山鉾建てが始まり、14日~16日が宵山行事、17日が巡行となります。
例年14日18時から23時まで歩行者天国になり、出店も出てにぎわいます。
後祭
7/17日から山鉾建てが始まり、21日~23日が宵山行事、24日が巡行となります。

祇園祭行事予定は八坂神社のホームページをご覧ください。
http://www.yasaka-jinja.or.jp/event/gion.html

祇園祭山鉾連合会
http://www.gionmatsuri.or.jp/

祇園祭の主な行事

1日~10日 吉符入

各山鉾町で、町内の役員方が集まり、八坂神社の神職のお祓いを受け、祭期間の無事を祈願します。

1日 長刀鉾町御千度

長刀鉾の町内役員が、その年の稚児や禿とともに八坂神社に参拝します。

2日 籤取り式

京都市役所にて、各山鉾町の代表者によって、17日と24日の山鉾巡行の順番を決める籤をとります。

八坂神社

7日 綾傘鉾稚児社参

綾傘鉾の稚児が、神事の無事を祈り八坂神社に参拝します。

長刀鉾

船鉾

10日~前祭 山鉾建て

祇園祭は、山鉾建ても見どころのひとつ。
釘などを使わず、長年受け継がれてきた、「縄がらみ」といわれる手法で、建てていきます。
前掛け、胴掛けなどの懸装品をつける と、隠れて見えなくなるので、この時しか見ることができません。

山鉾建て

■前祭

7月10日 長刀鉾(なぎなたぼこ)、函谷鉾(かんこぼこ)、鶏鉾(にわとりぼこ)、菊水鉾(きくすいぼこ)、月鉾(つきぼこ)
7月11日 放下鉾(ほうかぼこ)、船鉾(ふなぼこ)、岩戸山(いわとやま)
7月12日 保昌山(ほうしょうやま)、山伏山(やまぶしやま)、芦刈山(あしかりやま)、伯牙山(はくがやま)
7月13日 占出山(うらでやま)、霰天神山(あられてんじんやま)、郭巨山(かっきょやま)、芦刈山(あしかりやま)、油天神山(あぶらてんじんやま)、木賊山(とくさやま)、太子山(たいしやま)、白楽天山(はくらくてんやま)、綾傘鉾(あやがさほこ)、蟷螂山(とうろうやま)
7月14日 四条傘鉾(しじょうかさぼこ)、孟宗山(もうそうやま)

八坂神社

10日 お迎え提灯

「神輿洗式」の神輿を迎えるため、万灯会有志が、それぞれの提灯を立てて巡行します。 武士の姿や小町踊り、鷺舞いなどの行列が祇園界隈を練り歩きます。

10日 神輿洗い

中御座(祭神:素戔嗚尊 すさのをのみこと)・東御座(祭神:櫛稲田姫命 くしいなだひめのみこと)・西御座(祭神:八柱御子神 やはしらのみこがみ)と三基の神輿のうち、東御座と西御座は八坂神社の舞殿へ、中御座は四条大橋で神輿を清める「神輿洗神事が行われます。

八坂神社の境内で、松明に点火します。これを神輿の担い手が肩に担ぎ、四条通りを進んでいきます。松明や提灯の明かりに見守られながら、四条大橋から汲んだ鴨川の水を、榊につけて神輿に振りかけます。

放下鉾

12日~13日 前祭 山鉾曳き初め

組み立てが完了すると、祇園囃子を奏でながら町内の試し曳きが始まります。
この曳き初めは、一般の方も参加することができます。

長刀鉾: 7月12日 15:30
函谷鉾: 7月12日 14:00
月鉾: 7月12日 15:00
鶏鉾: 7月12日 14:30
菊水鉾: 7月12日 15:00
放下鉾: 7月13日 15:00
岩戸山: 7月13日 15:00
船鉾: 7月13日 15:00
蟷螂山: 7月13日 12:00

13日

長刀鉾稚児社参

長刀鉾のお稚児さんが、白馬に乗って八坂神社へ詣で、巡行の無事を祈願します。

久世稚児社参

久世稚児(駒形稚児)が八坂神社へ詣で、祭の無事を祈ります。
久世稚児は、馬の頭をかたどった神体「駒形」を胸にかけることから、駒形稚児とも呼ばれます。

新町通り

14日~16日 宵山、屏風祭

各山鉾町で山鉾を飾り、祇園囃子を奏でます。山鉾町が保存している豪華絢爛な調度品を、間近で見ることができるのが見どころです。

また、山鉾町にある旧家・老舗が、所蔵する美術品・調度品などを飾り、一般に公開する「屏風祭」も同時に開催されています。

16日 豊園泉正寺榊建

東洞院仏光寺東入ル
かつて、各町内の榊奉斎行列が全神輿に供奉したという記録があり、現存する一基になります。「榊」は、神の「よりしろ」として榊台を立て、ここに神をお迎えし、祇園祭の宵宮に祭壇を飾り祀ります。神幸祭では、中御座神輿の前を供奉します。

豊園泉正寺榊の粽は、山鉾の中で唯一、八坂神社で御祓いを受けたものです。

八坂神社

16日 石見神楽

島根県石見地方の伝統芸能。八坂神社の祭神スサノヲノミコトが登場することもあり、神事として奉納されます。

岩戸山

16日 日和神楽

巡行時の晴天を祈り、前祭を巡行する各山鉾町の囃子方が、演奏をしながら御旅所と各町会所を往復します。
長刀鉾のみ八坂神社まで出向いて奉納します。

長刀鉾: 7月16日 22:00
函谷鉾: 7月16日 22:00
月鉾: 7月16日 21:30
鶏鉾: 7月16日 21:40
菊水鉾: 7月16日 22:00
放下鉾: 7月16日 21:30
岩戸山: 7月16日 22:00
船鉾: 7月16日 22:00
綾傘鉾: 7月16日 21:00
四条傘鉾: 7月16日 21:40

長刀鉾 注連縄切り

蟷螂山、三条新町

17日 前祭 山鉾巡行

巡行することで町を清め、神様を町に迎える準備をします。巡行後、集めた邪気が逃げないように山鉾はすぐに解体されます。

四条麩屋町で長刀鉾の稚児による注連縄切り、四条堺町でのくじ改め、曲がり角の辻廻し、山鉾が連なる大通り、間近で迫力のある新町通の巡行などが見どころです。

唯一からくりが施されている蟷螂山(とうろうやま)は、屋根の上のカマキリが、巡行しながらカマを振りあげたり、羽を動かしたりと、とても愛らしく人気があります。

四条御旅所

17日 神幸祭

スサノオノミコトをはじめとする八坂神社の祭神を遷した3基の御輿が、各所定のルートを通り、四条寺町付近の御旅所で鎮座します。24日までここで祀られます。

大船鉾

南観音山

17日~ 後祭 山鉾建て

前祭と同様に、後祭の山鉾建てがはじまります。

山鉾建て

後祭

7月18日 鷹山(たかやま)、大船鉾(おおふねほこ)
7月19日 北観音山(きたかんのんやま)、南観音山(みなみかんのんやま)、鯉山(こいやま)
7月20日 浄妙山(じょうみょうやま)、黒主山(くろぬしやま)、役行者山(えんのぎょうじゃやま)、鈴鹿山(すずかやま)、八幡山(はちまんやま)
7月21日 橋弁慶山(はしべんけいやま)

20日~21日 後祭 山鉾曳き初め

前祭と同様、組み立てが完了すると、祇園囃子を奏でながら町内の試し曳きが始まります。 この曳き初めは、一般の方も参加することができます。

鷹山: 7月20日 15:00(2023年も関係者のみ)
北観音山: 7月20日 15:00
南観音山: 7月20日 15:00
大船鉾: 7月20日 15:00
橋弁慶山: 7月21日 11:00

ちきりやの前を通ります

23日 役行者山 護摩焚き供養

御神体が修験道の創始者である役行者であり、修験道との関わりが深いことから、聖護院門跡の山伏が役行者山の前で護摩焚きをして祭りの無事を祈ります。

山伏たちは、三条通りを西へほら貝を吹きながら通り、役行者山へ向かいます。

山伏問答のあと、四方に矢を入り、太刀で空を切るなど清めてから、護摩壇に点火し、祈祷を行ないます。

あばれ観音

23日 南観音山あばれ観音

深夜に行われる南観音山だけの儀式。御神体を布で覆い、台座にくくりつけ町内を巡行します。途中台座を上下にゆすって暴れさせるため「あばれ観音」と呼ばれています。

鷹山

23日 日和神楽

巡行時の晴天を祈り、後祭を巡行する各山鉾町の囃子方が、演奏をしながら御旅所と各町会所を往復します。

鷹山: 7月20日 20:00
南観音山: 7月23日 20:30
北観音山: 7月23日 21:30
大船鉾: 7月23日 21:30

河原町御池

24日 後祭 山鉾巡行

橋弁慶山を先頭に後祭の鉾1基、山9基が各町を出て烏丸御池に集結、9時半に烏丸御池を出発します。17日の前祭巡行とは逆のコースを10基の山鉾が進みます。

八坂神社前

河原町通り

24日 花傘巡行

元々、17日(前祭)と24日(後祭)に分かれて行われていた山鉾巡行が17日に統一されたことをうけ、「後祭」を伝承すべくはじまりました。
そして2014年には、後祭が復活することを受け、後祭巡行とともに実施されることになりました。

傘鉾十余基・馬長稚児・児武者等列を整えて、所定のコースを巡行します。
八坂神社に到着後、舞踊などの奉納を行います。

四条通り

24日 還幸祭

3基の神輿が四条御旅所から、各所定のルートを通り八坂神社へと戻ります。

23:00過ぎに、八坂神社に神輿がそろい、儀式が始まります。南楼門が閉ざされ、午前0時ごろ、境内の灯が消され、あたりは静かな闇に包まれます。その中で御霊遷しの神事が行われます。
和琴の音とともに舞殿から本殿へ御霊が移動する際には、「おぉー、おぉー」という声が響き渡ります。夜中にひっそりと行なわれる儀式は、厳かで幻想的で、一見の価値があります。

28日 神輿洗い、お祝い提灯行列

神輿洗いは、10日と同じように行われます。

お祝い提灯は、祇園町の町人が鳥居や下駄、金魚などおめでたい形の提灯を掲げて、神輿をお迎え、見送りした後、祇園町を練り歩きます。

31日 疫神社夏越祭

摂社の疫神社の鳥居に取り付けられた茅の輪をくぐって厄を祓います。

お茶にゆかりの山鉾

菊水鉾のお茶会

鉾名は、町内の菊水井戸にちなんで付けられました。会所では、7/ 13~16の4日間、日替わりで表千家・裏千家・遠州流によるお茶会が開催されています。お菓子は亀廣永の「したたり」で、お皿は持ち帰ることができます。そのデザインが毎年変わるので、それも楽しみのひとつとなっています。

御神体の前にお茶が備えられており、会所でお茶をいただくということは、本来はこのお供えのお下がりをいただくことから来ています。

菊水鉾の荷茶屋

芦刈山の荷茶屋

太子山の荷茶屋

荷茶屋(にないちゃや)

荷茶屋は、てんびん棒で担ぐ二つの箱の中に風炉釜や水差し、茶わん、茶筅などを入れた可動式茶屋で、山鉾巡行の際に同行し、辻回しなどの時間待ちお茶を飲まれていました。お茶を飲むことができるのは、裃を着た町の役人のみで、鉾の引き手は飲むことができませんでした。江戸時代の絵図にも見られ、複数の山鉾の後に続いていましたが、昭和30年代に冷たい飲み物が普及し、巡行時間が短縮されたこともあって、姿を消してしまいました。

菊水鉾の荷茶屋

他の山鉾に先駆けて復元されました。今は冷たいお抹茶を配られています。

芦刈山の荷茶屋

2011年に蔵の奥から見つかったもので、高さ約1メートルの木製。裾が広がる形の棚で、内側には小さな戸棚やかめを置く竹の台のほか、茶釜も残っていました。制作や使用の時期は不明。表面に、芦の旧字を使った「芦刈山」の文字が書かれています。

太子山の荷茶屋

太子山保存会が、2013年に復元新調しました。高さ約1メートルの木製で、「太」の紋の透かし彫りが入っています。