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お茶ができるまで
摘み取り
静岡県では、4月下旬から5月初旬の八十八夜の頃が新茶の摘み採りの最盛期となります。
荒茶工場
摘み採られた生葉(なまは)はすぐに荒茶工場へと運ばれていきます。
荒茶工場では、計量後に通気性の良いコンテナに入れて鮮度を保ち、蒸し機に入れて、強い蒸気で発酵を止めます。
※この工程はお茶の味や香りを決める最も重要なポイントとなり、蒸し度合は長年の経験と細心の注意が必要な工程です。
蒸された茶葉は一度冷却され、粗揉機(そじゅうき)や揉捻機(じゅうねんき)、中揉機(ちゅうじゅうき)、精揉機(せいじゅうき)で揉みながら乾燥させていきます。
さらに荒茶乾燥機にかけ、フルイ機や切断機で形を整えた後、茶葉が均一になるように合組機(ごうぐみき)で混ぜ合わせます。
こうして、出来上がった荒茶は仕上げ工場へと運ばれていきます。
仕上げ工場
荒茶工場から出荷された原料荒茶は、「産地問屋」いわゆる仕上げ工場へ運ばれていきます。
仕上げ工場では、届いた荒茶の見本を、茶畑や品種、工場別に分け、官能検査をおこなって値決めされます。茶農家の努力と苦労が報われるかが決まる緊張の場面でもあります。
値決めをされた荒茶は、お得意先の要望や価格等の条件によってブレンドされ、合組機に入れられた後は、フルイ機や切断機で選別されます。
仕上げ乾燥機で火入れをしてさらに乾燥させ、お茶独特の香りや味わいを引出します。
細かい茎等を取り除いた後、X線による選別機で異物を除去します。
最後は合組機で製品の調整や配合の均一化をはかり、大袋(おおふくろ)に詰めて大型冷蔵庫で保管されます。
ちきりや静岡工場
このようにしていくつもの工程を経て仕上げられたお茶が、ちきりや静岡工場へ納入されます。
仕上げ工場から入荷した原料茶葉は、見本原料との比較検査後に受入れ検査表へ記録し、「発注書と納品書」の照合をおこなってから、冷蔵庫の決められた場所で保管します。これは昨今のトレサビリティーの観点からも重要なポイントになっています。
お茶の品質保持に大変重要な冷蔵庫の温度管理は、始業前・昼・終業時の1日3回点検をおこなって、異常がないかを確認しています。
包装工場
包装工場への入室は、服装や髪の毛のはみ出しを確認して、粘着ローラーを使用した後、手洗いの手順に従い、最後に消毒して、エアシャワー室に入ります。エアシャワー室では壁面から吹き出すジェットエアで衣服に付着した埃や毛髪等の異物を持ち込まないようにし、同室に設置されている粘着シートで上履きも拭います。ここからがクリーンルームの入室となります。
原料茶葉は、見本原料との比較検査の後、あらかじめ決められた「配合表」に基づいて、品質が均一になるように合組機でブレンドします。
合組された原料茶葉は、目視ラインのローラーに流しながら微細なゴミや小石等がないかをチェックします。人の目で確認して異物の混入を除去する重要な工程で、集中力や経験が生かされています。ちきりやでは、異物混入事例のゼロを品質目標掲げ、毎日4交代制で作業をしています。
自動包装機では、茶葉を一定量計測し、窒素充填をして袋詰めしていきます。
包装された製品はウェイトチェッカーや金属探知機で検査されます。ウェイトチェッカーや金属探知機は一日3回の点検をおこない、発見した場合は破棄する等、作業マニュアルに従って適切な処理をしています。日付の印字やシール不良等の製品仕上がりを目視で確認して、段ボールに詰めます。このようにして管理、製造された商品が全国へ出荷されていきます。
品質管理室
お茶の製品づくりに欠かせないのが、官能検査です。
真白い容器に茶葉を定量入れ、目視で形状や色沢(しきたく)の確認をおこなった後、熱湯を注ぎます。ここでは、産地や茶園をはじめ、栽培状況や摘み採り時期等の詳細な情報も把握しながら、茶葉の形状、水色(すいしょく)、香り、滋味、などをチェックします。
農作物で加工品でもあるお茶は、長年の経験や実績によって養われた確かな目利きが美味しいお茶の決め手となります。
ちきりやの品質管理室では、検査機器を備えた科学的な分析も同時におこなっています。
茶成分分析器で、「水分」や「全窒素」「テアニン(アミノ酸)」「タンニン」、「カフェイン」、「ビタミンC」等の成分を計測し、品質面での劣化や均一化を管理しています。測色色差テストは退色や変質をきめ細かくチェックし、菌検査では、大腸菌群や一般生菌を測定するなど、科学的な根拠に基づく管理体制のもと、「安心」「安全」でしかも美味しい製品づくりに取り組んでいます。
2017年には一煎用ティーバッグの包装ラインを導入しました。自動で茶葉を一つ一つのティーバッグに個包装することが出来ます。ライフスタイルの変化と共に食卓に急須がない家庭も多くなり、茶がらが出ず、使用後はティーバッグを捨てるだけの便利さが支持されるニーズにも、対応していく商品を開発していきます。